レタリングと商標の接点

商標は、「文字・図形・記号・立体的形状若しくは色彩又はこれらの結合、音その他省令で定めるもの」(商標法2条1項柱書)が登録の対象とされています。

もっとも一般的なのが特許庁が定める明朝体又はローマン体の標準文字でブランドネームを記載したもので、その次に多いのが文字をレタリングして図形的性格が加わったものです。いわゆるロゴです。

理想としては標準文字で図形的な限定を加えることなくブランドネームを商標登録することができればよいのですが、商標への取り組みが会社設立後でさらにプロダクトのローンチ後であることが多いスタートアップへの助言をしていると同一ではないものの類似していないとは言い切れない先行商標と衝突する状況が頻発し、日々の実務として、図形的性格も含めて非類似という立論が求められるケースを多く経験しています。少なくとも日本では、読みである称呼が先行商標と同一又は類似であると審査で拒絶される傾向にあるものの、図形的性格の特徴が強く、外観において顕著な差異があるような場合には登録可能性が上がります。

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そんなこともあり、このゴールデンウィークはレタリングを学びました。明朝体・ゴシック体、それからローマン体・サンセリフ体で自分の名前をレタリングして、最後に自分の名前にコンセプトを設定してロゴタイプを制作するという課題です。

ブランドコンセプトを端的に伝えるブランドネームを決め、さらに図形的性格により視覚的にそのコンセプトを伝えやすくするというロゴ制作のプロセスを疑似体験することで、スタートアップのロゴの意図を正しく理解するとともに、必要な場合には、より好ましい結果を届けられるよう、その理解を商標実務の中で活かしていきたいとおもいました。

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