六本木通り特許事務所からの三つのお約束

六本木通り特許事務所では、未来を変えていくスタートアップの特許・商標を最先端の実務で支えるために、「スタートアップ」「未来」「最先端」の三つの視点を研ぎ澄ましています。

「スタートアップ」

中小企業でも大手企業でもないスタートアップの置かれている環境を理解した上で助言を行います。ローンチ、プロモーション、ファイナンスが一体となって短期間に進行するスタートアップの時間軸にスピード感をもって対応します。

「未来」

スタートアップには未来を自ら切り開いていく企業と他のスタートアップが切り拓いた未来を後追いする企業があります。自ら未来を切り開いた企業にその未来を責任をもって築いていく地位を与えるのが知的財産制度であり、無用の紛争は避けつつ安易な模倣には立ち向かいます。

「最先端」

未来を変えるプロダクトは往々にして未知の論点を孕んでいます。また、事業の新しさゆえに基礎となる事実が十分に理解されないこともあります。依頼者の取り組む事業の先端性に劣ることのない先端実務を旧来の常識に囚われることなく追求します。

知財に取り組むことで、スタートアップが抱える不安を和らげるとともに未来を築いている確かな実感をもってもらいたい。そうして新たな挑戦が一つでも大きく実を結んでほしい。六本木通り特許事務所はそのように願っています。

初めての方へ

2015年のスタートアップの調達状況・特許出願状況

大雪の1月22日に「グローバル知財戦略フォーラム2018」にて「つながる時代の知財」と題するセッションにスピーカーとして登壇いたしました。モデレーターは、ロフトワーク共同創業者でMITメディアラボ所長補佐の林千晶さん。

懇親会がキャンセルとなり残念ではありましたが、ソニー知財担当役員の御供俊元さん、デザイン・ファームTakramの田川欣哉さんとともにスピーカーとして大きなテーマについて議論させていただきました。

自己紹介を兼ねた冒頭のコメントで「スタートアップ≠中小企業」という大切な前提をお伝えするとともに、近年のスタートアップの資金調達の状況・特許出願の状況についてご紹介しましたのでこちらにも載せておきます。

2015年に1億円以上の資金調達をしたスタートアップの特許出願状況

ポストインターネットの好例「mobike」

ウェブブラウザが生まれて25年以上を経て、インターネットにつながることがあらゆる場面で前提となりつつある。PCからモバイル、そしてIoTとつながる対象も拡大している。インターネットがもたらす新たなつながりは、計り知れない自由度をビジネスに与えている。

インターネットに溶け込む「mobike」

たとえば、中国の自転車シェリングサービス「mobike」はその好例と言える。スマホでアプリを開くと、自転車はIoT化されていて、近くで利用可能な自転車が表示される。スマホ自体もGPSで現在位置が分かれば、乗りたい自転車を歩いて見つけることができる。

mobikeの動作画面一例

(中国上海市でのスクリーンショット)

自転車を見つけたら、後はbluetoothをONにして座椅子下のQRコードをスキャンするだけで鍵がアンロックされて乗車可能となり、課金が開始される。乗り終えたら鍵を手動でロックすればそのタイミングでオンライン決済が完了となり、利用者はそのまま自転車を乗り捨ててしまってよく、近くに来た次の利用者がまた乗っていく。

利用者が地上で自転車を目の前にしつつ、すべてがインターネットと自然につながっているこの乗車体験はとても新鮮で、2015年12月創業にもかかわらず、mobikeはこれまでに9.28億ドルを調達して急速に世界展開を進めている(crunchbase調べ)。

ポストインターネットの可能性

mobikeの中で唯一インターネットらしくない点は乗り捨てられた自転車の回収だ。次の利用者の見つかりにくい場所に乗り捨てられた自転車は人手で回収する必要がある。いかにも中国らしい人海戦術と片付けてしまいがちだが、それではmobikeの本質を見落とす。

mobikeは、モバイルとIoTによりインターネットに溶け込んだサービスとして自転車の乗車体験を極限まで高めた上で、そこからはみ出てしまった自転車の回収を単純作業として事後的に処理することで成立している。多くの人は、乗り捨てられた自転車はどうするのかという問いが頭に浮かんでしまうのに対し、今のインターネットを最大限取り込んだら何が出来るかという問いが先に来ている。

新しいテクノロジーが現れても、人は、それまでの常識に囚われて暗黙の前提を置いてしまう。しかし、新しいテクノロジーの可能性を全身で受け止めた起業家は、そうした常識を一旦括弧に入れて新たな解を見出す。その解にはmobikeの自転車回収のように不格好な点も残るかもしれないが、自動車が排気ガスを出すように、テクノロジーはそうして進歩してきたのだろう。インターネットが当たり前になったポストインターネットのこれから、mobikeは、まだまだ目の覚めるようなサービスが生まれてくる余地を感じさせてくれる。

インターネットの今

インターネットがなかったら。

今さら現実的ではないけれど、この問いをしてみると目の前の事業がインターネット的な新しさのあるものなのかを正しく捉えることができるようにおもう。

インターネットにウェブが生まれて、ウェブブラウザが現れた。ウェブブラウザが生まれて、サーチエンジンが生み出された。ウェブとは異なるアプローチとして、P2Pのファイル共有ソフトが猛威を振るった。通信速度の向上が動画配信を可能とした。インターネットの高機能化が情報入手のルートとしてインターネットを浸透させていった。

インターネットの浸透は、ネットワーク上で流通する情報量の増大に留まらず、その質を変えた。実用的な情報に加えて、個人的な情報がSNS上に投稿されるようになり、モバイルデバイスの低価格化がリアルタイムな情報発信を容易にしてSNSを加速した。あらゆる情報が今すぐ手に入るだけでなく、自撮りを含め、今すぐ情報発信ができるようになった。

また、モバイルデバイスの普及は、そのユーザーをインターネットに繋ぐだけでなく、そのユーザーと共に車・鍵等のさまざまなモノをインターネット上で可視化した。今は、センシングデバイスの価格低下がモノ自体をネットワーク化している。

パーソナルデータやIoTデータというこれまでアクセスできなかった情報は、クラウド上で解析されて、そこに大きな付加価値が生まれている。AI/MLの進展は、こうしたインターネットの劇的な広がりにより利用可能となったデータの恩恵を受けている。クラウドは他のクラウドとAPIによって繋がり、連鎖的に効率化が進んでいく。

多様な情報が場所を問わず、国境を問わず行き交う中で、インターネットが苦手とする信頼に注目が集まっている。

出所不明で信頼性を欠くフェイクニュースが大統領選を左右したとも言われると同時にブロックチェーンが金銭的価値に留まらない信頼の伝達手段として有望視されている。シェリングエコノミーの相互評価は今、信頼の問題について示されている一つの解と言えるだろう。社会にとって欠かせない存在となったインターネットは、更なる高機能化が求められている。

インターネットらしさはどこだろう。

これまでご一緒したスタートアップの事業を改めて振り返り、インターネットらしさを考えてみて、はっきりと言語化できていなかったこの視点をこれからはもっと大切にしていきたい。

2015年に資金調達をしたスタートアップの特許出願動向

2015年に1億円以上の資金調達をしたスタートアップの特許出願動向です。

2015年に1億円以上の資金調達をしたスタートアップの特許出願件数ランキング_20170718

特許出願は出願から1年半後に公開される制度となっており、2017年7年18日までに公開されたものが対象です。

2015年11月にSeries Aで約2.7億円を調達したライフロボティクスは、2014年10月からの1年間で45件の出願をしており、目を見張るものがあります。光コムは東工大発のオプティカルテクノロジー、フローディアはIoT向けメモリの半導体テクノロジーで、基礎技術寄りの会社が続きます。

他方、IT/IoT関連のスタートアップも数十件という規模ではないものの、特許出願を重ねて来ていることが見て取れます。

2015年に資金調達しているのに載っていない、こんな分析が見てみたいなどありましたら、是非コメントをいただけたら。

[プレスリリース] 資金調達前のスタートアップ向けに知財戦略の支援パッケージを定額で提供開始

六本木通り特許事務所(所在地 東京都港区、代表弁理士 大谷 寛)は、7 月 3 日より、ベンチャーキャピタル(以下「VC」) からの資金調達を目指すスタートアップ向けに知財戦略の立案実行支援における定額パッケージの提供を開始いたします。

◇知財戦略に対する意識の高まり、抱える矛盾

六本木通り特許事務所では、これまで未来を変えていくスタートアップを最先端の特許実務・知財実務で支援してまいりました。支援先の多くのスタートアップは、既に VC からの資金調達を行い、特許戦略・知財戦略に取り組む資金的な体力があり、特許出願・商標出願・契約書知財条項のレビュー・他社特許に対する防御・訴訟戦略の立案実行などを行ってまいりました。

知財への取り組みを行うスタートアップが増える中、近時では、創業後間もない時期や創業前の時期から事業を構成する一要素として知財に注意を払う起業家が増加傾向にある一方、創業期の資金調達前の段階では、知財戦略に取り組むだけの十分な余裕がない現実があります。知的財産制度は、新たな挑戦をした者を称え、支えるものであり、早く取り組めば取り組むほど価値が高まるものの、早ければ早いほど戦略を立案し、それを実行することが資金的に困難であるという矛盾を抱えています。

◇定額支援パッケージの概要

新たに提供する定額支援パッケージでは、3 ヶ月間でスタートアップが知財の視点を持ち、事業計画に織り込んでいくための支援を行います。起業家の描く事業戦略に特許・商標・営業秘密・著作権等の知財という新たな切り口を加えて、成長ストーリーの説得力を高めます。

期間:3 ヶ月間、ミーティング月 1-2 回、メール/チャット随時

対象:調達総額 5000 万円以下のスタートアップ

価格:合計 5 万円(税別、実費別)

内容:特許出願すべき発明が生まれる方向性はあるものの、具体的な発明自体は今後の開発の中でみえてくる状況にあることが少なくありません。また、何が発明に該当するのかが分からず、特許の可能性について考えてみたこともないことが少なくありません。そこで本サービスでは、事業を深く理解した上で、いつ・なにを特許としてファイルしていくべきかというストーリーを提案します。

商標については、ミニマムで必要な商標登録とそのタイミングの提案に加えて出願の実行までを行います。

その他、事業を立ち上げていく上での漠然とした知財の不安を解消し、事業計画に確からしさを加えます。3 ヶ月後には、今後の知財戦略について正しい言葉で説明できる姿を目指します。

注記:事業内容等に応じてお受けできないことがありますこと予めご理解のほど宜しくお願いいたします。

追記(2017/11/18):定額パッケージの提供を2017年末日までのお申込みで一度締め切らせていただきます。2018年以降、定期的に期間限定の定額パッケージの提供を行う予定です。

◇六本木通り特許事務所について

六本木通り特許事務所は、未来を変えていくスタートアップを最先端の特許実務・知財実務で支援しています。

初めての方へ

<事務所の概要>

代表者 代表弁理士 大谷 寛
設 立 2017 年 1 月 5 日
所在地 東京都港区六本木

<代表弁理士受賞歴>

2017 年 主要業界誌 Intellectual Asset Management により特許出願の分野で各国を代表する専門家の一人に選ばれる。

弁理士にできるのに弁理士ができると思っていないこと  

弁理士にできるのに弁理士自身が自分にできると思っていないことについて書いてみようとおもう。言い換えると、弁理士というものの可能性について書いてみたいとおもう。

弁理士の基本動作

特許を扱う弁理士にとって、もっとも多い案件は、依頼者から発明の説明を受け、それを特許出願すること、そして特許庁の審査対応をすることだ。そこで中心的役割を果たす二つの概念が「解決しようとする課題」と「解決するための手段」である。この二つの概念を切り口として技術を整理して特許法上の「発明」として捉えるというのが基本動作であり、経験を積んだ弁理士であれば、このプロセスを数千の技術について行っている。

この二つの概念は、実は技術に限られるものではなく、より広くさまざまな事業を分析する上でも通用する。技術が何かしらの課題を解決する手段であるように、単純化してしまえば、事業も社会が抱える課題を解決する一手段と言える。「技術」という縛りを一旦忘れて、純粋に、依頼者はその事業で何を課題としてそれをどのように解決していくのかを考えていくことは、弁理士の基本動作と親和性が高い。

「事業」という森、「技術」という木

特許が事業の成長にあまり役に立たないという声も少なくない。その一因は、弁理士が自らの職能を「技術」の「発明」としての概念化に狭めていることにある。「事業」という森をみることなく、「技術」という木の特許化に留まっているのである。森をみたら、特許化すべき正しい木はその木ではないかもしれないという可能性が排除されている。

そうではなく「事業」の説明を受け、「事業」が解決すべき課題を理解した上でそこで用いられる「技術」の「発明」としての概念化をしていけば、特許と事業は自ずと同じ方向を向くことになる。

弁理士のこれから

もちろん、事業を理解したら、特許制度を活用すべき側面が見出されないこともある。そのときは、仮に依頼者が望んでいても、特許出願には適さないと助言すべきである。多くの弁理士は、特許出願前の相談につき報酬を頂くことに不慣れで、特許出願をしてもらわないと対価を得られない傾向にある。「技術」ではなく「事業」から話を聞くようになれば、特許出願に適さないことが多くなり、負担がさらに増えるであろう。弁理士は旧来の報酬体系を見直すべき時期に来ている。

報酬体系という課題を抱えているものの、弁理士は、その職能を事業の成長への貢献と再定義することも非現実的なことではない。起業家・投資家と近い距離で働いてきて、そうおもう。多くの弁理士がそのようにおもうようになれば、知財の役割が大きくなる時流の中で、弁理士というものに対する外からの印象も変わっていくだろう。

PROFILE

KAN OTANI| Patent Attorney |@kan_otani_jp

2021 Dec-2022 Nov Japan Patent Office (JPO), Industrial Property Council, Patent Attorney Examination Committee

2020 Jan-2021 Feb Head of IP, Microwave Chemical Co., Ltd.
2016 Dec-2019 Dec Outside Director, Aucfan Co., Ltd.

2017 Established Roppongidori Patent & Trademark Attorney
2012-2016 OHNO & PARTNERS
2011-2012 Anderson Mori & Tomotsune

2021 LSE Certificate in Data: Law, Policy and Regulation
2005 S.M. in Applied Physics, Harvard University
2003 B.S. in Applied Physics, Keio University

2014-2022 Selected as one of leading patent practitioners in Japan in prosecution category by Intellectual Asset Management

2014-2016 2019-2022 Selected as one of leading patent practitioners in Japan by Managing IP

六本木通りオフィスアワー

2017年4月より無料で30分ご相談をお受けするオフィスアワーを設けます。

内容は商標特許採用出資など、どんなことでも。六本木通り沿いで何かお役に立てたら、また私自身より視野を広げられたらとおもいます。ご連絡お待ちしております。

より具体的なご相談はこちらよりお願いいたします。

プライバシーポリシー

セカンドオピニオンのすすめ

お腹に違和感を覚えて病院に行ってみたら「ガンです。ガンなので、すぐに手術して摘出します」と言われたらどうされますか。

多くの方は「家族と相談させてください」「もう一度詳しく説明をお願いします」「少し考えたいです」といったお答えをするのではないでしょうか。

友人に医師がいれば、急いで連絡をして「本当に切除しないといけないの?」と確認をしたくなるでしょう。ただ、信頼できる旧知の友人に医師がいる方ばかりではありません。そこで「セカンドオピニオン」という考え方が医療分野では広まりつつあります。

たとえば、虎ノ門病院では「セカンドオピニオン」についての以下のように説明しています。

セカンドオピニオンとは現在の自分の病状や治療方針について他の医師の意見を求めることをいいます。 患者さんが当院以外の医師の意見を求められる際には、当院での診療上のデータを積極的に提供いたします。

・・・

医師は自分が最もよいと思う方針を勧めます。しかし別の立場の医師からも意見を聞けば、治療法について具体的な比較ができ、より適した治療法を患者さん自身が選択することができます。

ガンのように人生で初めて直面する問題に対し、自分の力で最善の選択をすることは困難です。

特許も、似たところがあります。多くの起業家にとって特許出願は初めてです。出願すべきなのか、出願後の取り扱いはどうすべきか、特許庁から届いた書面にどう向き合えばよいのか。

特許制度の性質上、発明が生まれた瞬間に時計の針は回り出し、これを止めることは出来ません。日々進行していくガンに対してそのとき最善と考えた治療を選んでいくほかないように、日々変化する自社他社の事業状況の下で初めての判断をしていくことになります。ガンを一月放置したら取り返しがつかなくなるおそれがあるように、一月の遅れで数億円の知財価値を失うおそれがあり、実際手遅れのケースを数多く目にします。

弁理士の説明を聞いたもののどうするのが最善なのか分からないときに、放置してしまうのではなくセカンドオピニオンを求めてみることが普通のことになれば、起業家の方々に「こうすればいいんだ」という納得のいく判断をしていただくことができ、その積み重ねが特許に対する正しい理解を根付かせることになるのではないかと期待しています。

でも、初めてのことばかりのスタートアップにとって、セカンドオピニオンの重要性は特許に限られないかもしれないですね。