[プレスリリース] 資金調達前のスタートアップ向けに知財戦略の支援パッケージを定額で提供開始

六本木通り特許事務所(所在地 東京都港区、代表弁理士 大谷 寛)は、7 月 3 日より、ベンチャーキャピタル(以下「VC」) からの資金調達を目指すスタートアップ向けに知財戦略の立案実行支援における定額パッケージの提供を開始いたします。

◇知財戦略に対する意識の高まり、抱える矛盾

六本木通り特許事務所では、これまで未来を変えていくスタートアップを最先端の特許実務・知財実務で支援してまいりました。支援先の多くのスタートアップは、既に VC からの資金調達を行い、特許戦略・知財戦略に取り組む資金的な体力があり、特許出願・商標出願・契約書知財条項のレビュー・他社特許に対する防御・訴訟戦略の立案実行などを行ってまいりました。

知財への取り組みを行うスタートアップが増える中、近時では、創業後間もない時期や創業前の時期から事業を構成する一要素として知財に注意を払う起業家が増加傾向にある一方、創業期の資金調達前の段階では、知財戦略に取り組むだけの十分な余裕がない現実があります。知的財産制度は、新たな挑戦をした者を称え、支えるものであり、早く取り組めば取り組むほど価値が高まるものの、早ければ早いほど戦略を立案し、それを実行することが資金的に困難であるという矛盾を抱えています。

◇定額支援パッケージの概要

新たに提供する定額支援パッケージでは、3 ヶ月間でスタートアップが知財の視点を持ち、事業計画に織り込んでいくための支援を行います。起業家の描く事業戦略に特許・商標・営業秘密・著作権等の知財という新たな切り口を加えて、成長ストーリーの説得力を高めます。

期間:3 ヶ月間、ミーティング月 1-2 回、メール/チャット随時

対象:調達総額 5000 万円以下のスタートアップ

価格:合計 5 万円(税別、実費別)

内容:特許出願すべき発明が生まれる方向性はあるものの、具体的な発明自体は今後の開発の中でみえてくる状況にあることが少なくありません。また、何が発明に該当するのかが分からず、特許の可能性について考えてみたこともないことが少なくありません。そこで本サービスでは、事業を深く理解した上で、いつ・なにを特許としてファイルしていくべきかというストーリーを提案します。

商標については、ミニマムで必要な商標登録とそのタイミングの提案に加えて出願の実行までを行います。

その他、事業を立ち上げていく上での漠然とした知財の不安を解消し、事業計画に確からしさを加えます。3 ヶ月後には、今後の知財戦略について正しい言葉で説明できる姿を目指します。

注記:事業内容等に応じてお受けできないことがありますこと予めご理解のほど宜しくお願いいたします。

追記(2017/11/18):定額パッケージの提供を2017年末日までのお申込みで一度締め切らせていただきます。2018年以降、定期的に期間限定の定額パッケージの提供を行う予定です。

◇六本木通り特許事務所について

六本木通り特許事務所は、未来を変えていくスタートアップを最先端の特許実務・知財実務で支援しています。

初めての方へ

<事務所の概要>

代表者 代表弁理士 大谷 寛
設 立 2017 年 1 月 5 日
所在地 東京都港区六本木

<代表弁理士受賞歴>

2017 年 主要業界誌 Intellectual Asset Management により特許出願の分野で各国を代表する専門家の一人に選ばれる。

六本木通りオフィスアワー

2017年4月より無料で30分ご相談をお受けするオフィスアワーを設けます。

内容は商標特許採用出資など、どんなことでも。六本木通り沿いで何かお役に立てたら、また私自身より視野を広げられたらとおもいます。ご連絡お待ちしております。

より具体的なご相談はこちらよりお願いいたします。

プライバシーポリシー

30分で出来る、スタートアップの初めての商標出願

スタートアップの新サービスについてお伺いしていると、起業家が思い描く未来の姿が私にも見えてくる瞬間があります。この瞬間は何よりも心が躍ります。起業家は千差万別でみなさんさまざまなストーリーをおもちですが、それぞれのストーリーはプロダクトとして形になり、プロダクト名はそれをシンボリックに示します。

しかし、しっかりと考えて決めたプロダクト名が突然使えなくなったり、類似する名前を後発の他社が使い出したりしたら、蓄積してきた評判や信頼が傷ついてしまいます。プロモーションのアクセルを踏み込む時期であれば大きな問題になりますよね。

商標権は、こうした問題を未然に防ぐことができ、少なくとも「これで行こう」と決めたプロダクト名については権利取得をしておくことが必須です。商標出願には複雑なものもありますが、プロダクト名のひとまずの申請であればさほど難しいことではありません。申請のプロセスをカンタンに説明します。

事前準備

商標は、名前と用途の組み合わせです。たとえば、2017年2月24日に任天堂株式会社に不正競争防止法違反等を理由に提訴された株式会社マリカーは、マリオなどのコスプレ衣装で公道カートに乗れるサービスに関連して商標権を取得しています(第5860284号)。「マリカ―」という名前につき、「自動車の貸与及びこれに関する情報の提供」「車体を利用した広告」「インターネットを利用した広告」といった用途が指定されています。

このように、プロダクトの名前とその名前を用いて行う予定の事業について事前に整理をしてみてください。

注意点として、たとえば「apple」という名前を「りんご」を用途ととして誰かに商標権が与えられてしまったら、「りんご」に「apple」と書いて販売すると商標権侵害となってしまいます。こうした独占的な権利付与に適していない名前と用途の組み合わせについては商標登録を受けることができません。造語であればこうした制約はないので安心です。また、「apple」のような既存の単語であってもその意味合いが一般名称として理解されている用途でなければ、「コンピュータ」を用途として「apple」が登録できているように、商標登録を受けることができます。

不安があれば、出願しても登録にならない商標について特許庁が説明しているこちらの「1.自己と他人の商品・役務を区別することができないもの」をご覧ください。

商標調査

商標出願しようとする名前と用途の組み合わせが既に他社により申請中であると審査に通りません。ですので、特許庁のデータベースで調べておきましょう。特許庁のデータベース「J-PlatPat」にアクセスして「商標」→「商標検索」を選択して二つ目の検索項目のプルダウンから「称呼(類似検索)」を選択し、カタカナで申請対象の名前を入力します。似たものが出てこなければOKです。J-PlatPat_商標検索画面_20190915似たものが出てきたときには用途まで含めて似ているかを確認します。問題の先行商標を選択して「商品及び役務の区分並びに指定商品又は指定役務」という欄に用途が記載されていますので、ここをみます。

願書作成

事前調査で問題がなければ、願書作成に進みます。願書はこちらから。プロダクト名をそのまま申請する場合には「標準文字」と記載された方をダウンロードいただき、ロゴで申請する場合には【標準文字】という記載のない方をダウンロードします。願書の記入例もご確認いただければとおもいます。

願書を完成させるためには、用途を商標法上のルールに沿って記載することが必要になります。用途は、商標法では「指定商品」又は「指定役務」と呼ばれ、1類から45類までの「区分」と呼ばれるカテゴリーに分類されています。類似の事業を行う企業があれば、その会社のプロダクト名で商標調査をして、指定商品又は指定役務の記載を参考にするとよいです。参考情報なので、厳密には類似企業ではなくても広めにみてみることでヒントが得られます。

基本的な指定商品又は指定役務は、商標法施行規則の別表に示されており、こちらで「別表」と検索いただくと分かります。アプリであれば、9類の「電子計算機用プログラム」が関連してきます。ウェブサービスであれば、42類の「電子計算機用プログラムの提供」などです。また、アプリ・ウェブでどのようなサービスを具体的に提供するのかという視点も必要です。

特許庁のデータベース「J-PlatPat」にアクセスして「商標」→「商品・役務名検索」から過去に用いられた指定商品又は指定役務の実例を検索することもできます。

特許庁に対する出願料(特許印紙代)は指定商品又は指定役務の区分数により大きく変動しますので、今後行う予定の事業をどこまで広く押さえるかを予算に応じて決めてください。

出願料は改訂されることもあるため、こちらで最新の情報をご確認ください。2017年2月24日時点では、3400円+(区分数×8600円)です。初めての商標出願であれば、2区分前後が適切なケースが多いです。

商標出願で一番難しいところはここで、指定商品又は指定役務を適切に指定するためには商標法についてのさらに深い理解が求められることもありますが、事業の進展、プロダクトの知名度に合わせてさらに必要となった用途について追加で申請することもできますので、費用が大きくなりすぎないようにまずは直近で取り組む事業に絞ってもよいでしょう。

願書提出

願書が作成できたら、特許庁に提出します。特に似た商標との関係では先に出願した会社のみが登録を受けられますので、出来るだけ早めをお勧めいたします。

特許庁に持参する場合には、特許庁に入館して一階に特許印紙売り場がありますので、必要な額だけ購入して貼付します。そのまま一階で提出してもよいですが、地下一階のコンビニでコピーを取ってから提出すると受領印をもらうことができます。

特許庁に郵送する場合には、こちらをご覧ください。

持参のよいところとして、窓口で形式的な不備がないか確認してもらえる点があります。困ったら特許庁に電話して聞いてみるのも有効です(03-3581-1101)。

商標登録

提出後、数週間で紙で提出した願書の電子化手数料の納付書が郵送されてきますので納付してください。通常であれば、4月前後で審査結果が特許庁より届きます。無事登録査定となれば、設定登録料を納付して商標権が成立です。

登録料の詳細はこちらです。2017年2月24日時点では、10年分で区分毎に28200円、5年分で区分毎に16400円となっています。

終わりに

商標によっては難しい判断が必要となるものもあるものの、30分もあればご自身でさっと終えられるケースも少なくありません。安心して事業に集中できるよう、プロダクト名がしっかりと決まったら是非早めに。

2019年1月26日
現在、審査結果が特許庁から届くまでに8月程度要しています。
2019年9月15日
現在、審査結果が特許庁から届くまで10月程度要しています。また、リンクが一部切れていたためアップデートなどしました。
2020年5月23日
現在、審査結果が特許庁から届くまで12月程度要しています。また、リンクが一部切れていたためアップデートなどしました。
2021年2月13日
軽微な修正をしました。
2023年1月7日
現在、審査結果が特許庁から届くまで6月前後要しています。また、リンクが一部切れていたためアップデートなどしました。