お腹に違和感を覚えて病院に行ってみたら「ガンです。ガンなので、すぐに手術して摘出します」と言われたらどうされますか。
多くの方は「家族と相談させてください」「もう一度詳しく説明をお願いします」「少し考えたいです」といったお答えをするのではないでしょうか。
友人に医師がいれば、急いで連絡をして「本当に切除しないといけないの?」と確認をしたくなるでしょう。ただ、信頼できる旧知の友人に医師がいる方ばかりではありません。そこで「セカンドオピニオン」という考え方が医療分野では広まりつつあります。
たとえば、虎ノ門病院では「セカンドオピニオン」についての以下のように説明しています。
セカンドオピニオンとは現在の自分の病状や治療方針について他の医師の意見を求めることをいいます。 患者さんが当院以外の医師の意見を求められる際には、当院での診療上のデータを積極的に提供いたします。
・・・
医師は自分が最もよいと思う方針を勧めます。しかし別の立場の医師からも意見を聞けば、治療法について具体的な比較ができ、より適した治療法を患者さん自身が選択することができます。
ガンのように人生で初めて直面する問題に対し、自分の力で最善の選択をすることは困難です。
特許も、似たところがあります。多くの起業家にとって特許出願は初めてです。出願すべきなのか、出願後の取り扱いはどうすべきか、特許庁から届いた書面にどう向き合えばよいのか。
特許制度の性質上、発明が生まれた瞬間に時計の針は回り出し、これを止めることは出来ません。日々進行していくガンに対してそのとき最善と考えた治療を選んでいくほかないように、日々変化する自社他社の事業状況の下で初めての判断をしていくことになります。ガンを一月放置したら取り返しがつかなくなるおそれがあるように、一月の遅れで数億円の知財価値を失うおそれがあり、実際手遅れのケースを数多く目にします。
弁理士の説明を聞いたもののどうするのが最善なのか分からないときに、放置してしまうのではなくセカンドオピニオンを求めてみることが普通のことになれば、起業家の方々に「こうすればいいんだ」という納得のいく判断をしていただくことができ、その積み重ねが特許に対する正しい理解を根付かせることになるのではないかと期待しています。
でも、初めてのことばかりのスタートアップにとって、セカンドオピニオンの重要性は特許に限られないかもしれないですね。